ノルウェーのベルゲンにある自宅兼アトリエを拠点に活動するデザイナー、 スティーネ・オースは、周囲の自然や代々語り継がれてきた物語、大切に受け継がれてきた家宝など、さまざまな伝統から着想を得ています。
オースの作品は、Herman Millerでの初デザインを含め、その多くが長い木工伝統に根差しており、ダイニングテーブル、クレデンザ、コンソールなどのラインナップが揃うLandコレクションでは、本実組みに見られる徹底して作りこまれた細部と、世代を超えて受け継がれる大ぶりの木材、そして彼女ならではのモダンな視点が美しく調和しています。ノスタルジアの感覚もまた、彼女のデザイン探求においては欠かせません。オースのデザインには、1960~70年代のノルウェーの山小屋や別荘に見られる露出した木組みや明るい木材が取り入れられており、その多くはアーツ・アンド・クラフツ運動の影響を受けています。自然な風合いと手触りの良さを備えた、上質な仕上がりとなっているのが特徴です。
この関係性こそがオースの設計の核になっています。「私が目指しているのは、モノと人の関係性です」と彼女は言います。「たとえば、その椅子がなぜそこまで愛されているか、はっきり説明できないことは少なくありません。人がモノを好きになるのは、とても個人的な感覚だからです。でも、少なくとも受け継いでいけるような「良いもの」をつくることはできます。そうすれば、こうした関係性が生まれる準備は万端整います。」
大好きな家具の思い出はやがて、誰かに語りたくなる物語に変わります。家具が現実に存在すれば、その思い出は触れられるものとなり、次の世代へと受け継がれていく宝となります。匠の技と細部へのこだわりが、こうした家具のデザインを、長く使われ、それ自体で次世代に受け継がれる存在となるようなものにしているのです。「流行を追うつもりはありません」とオースは言います。