Studioilseによる製品

著名な英国人デザイナーのスタジオイルゼのイルゼ・クロフォードと、彼女の夫でインダストリアルデザイナーのオスカー・ペーニャが共同でデザインを行っていて、コラボレーションの度に、夫婦がお互いを補い合うことで力を発揮しています。

「私たちのデザインアプローチは異なります」とクロフォードは説明します。「私は、人間の体験と、その体験がどのようにして住宅や商業プロジェクトの室内建築やデザインを通して現れるのかを重視しています。オスカーは、製品そのものと、その機能性、物質性、そして製造という大きなシステムの中でうまくいくかどうかに重きを置いています」

ペーニャは同意して続けます。「イルゼは、スペースの中でモノがどのような感じになるのか、どのように機能するのかに注目します。私は、機能性、製造可能性、製造方法を重視します」と彼は言います。「私は、工場にいるのが大好きです」

クロフォードのアプローチは、デザインジャーナリストとしての彼女の経験から生まれました。Architect’s Journalに勤務した後、クロフォードは、1989年に『ELLE Decoration』の創刊者兼編集者になりました。ペーニャとは、デザイン・アカデミー・アイントホーフェンで出会いました。当時、ペーニャはそこで「Man of Activity」カリキュラムを指導しており、クロフォードは「Man and Wellbeing」プログラムを開設して、指導していたのです。

コロンビア生まれのペーニャは、2015年にスタジオイルゼでフルタイムで働くようになるまで、Philips Design Lightingでグローバルシニアクリエイティブディレクターとして勤務していました。プロダクトデザインに対する興味は、ハーマンミラーの長年にわたる協力者であるビル・スタンフの所でサマーインターンシップをした20代前半に生まれました。「ビルは、デザインの捉え方を教えてくれました」とペーニャは回想します。ペーニャは、スタンフを通して、「オブジェクトを触り、作り、そしてその性質を本当に理解することで」、オブジェクトの物質性と物性を体験することを学びました。

クロフォードとペーニャが共有する人間の体験を尊重する心は、スタジオイルゼが引き受けるすべてのプロジェクトの中心に置かれていて、前面に表れています。「結局のところ、デザインは、人間性を高めるためのツールなのです」とクロフォードは言います。「私たちが生み出す物と空間が私たちの文化、個性、そして行動を形作るのです。それらは三次元のストーリーなのです」ロンドンを拠点とするチームと共にスタジオイルゼは、人とのつながりを深め、人々を結びつけることで、人々の暮らしと行動をサポートし、向上させています。

スタジオイルゼは、報酬制のプロジェクトと社会的側面を持ったプロジェクトのどちらにもバランスよく取り組んでいます。スウェーデンのEtt Hemホテル、香港の空港にあるファースト&ビジネスクラスラウンジのThe Pier、ニューヨークのソーホーハウス、Wästberg、そしてIkeaのサステナブルコレクションなどのクライアントを持つ一方で、他方では、社会的ケアの分野に美と尊厳を持ち込むことに重点的に取り組んでいて、ロンドンのセントカスバートセンターにある、孤立している人やホームレスの人のためのコミュニティキッチンであるRefettorio Felixにて実践しています。

「結局のところ、デザインは、人間性を高めるためのツールなのです」

- イルゼ・クロフォード